GAPファンド

岸本 泰士郎
研究代表者
慶應義塾大学

岸本 泰士郎

Kishimoto Taishiro
採択テーマ

音響学的解析における認知症の検知技術を利用した事業検証

課題名
音響学的解析における認知症の検知技術を利用した事業検証
技術シーズの概要
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日本の認知症患者数は増加の一途を辿っている。特に早期の段階では診断が容易ではなく、診断されていない患者数も多いのが現状であり、簡便に認知症を識別する技術の開発が望まれている。
研究グループでは2分程度の自由会話から、音響学的な特徴を用いた機械学習モデルを用いることで認知症のリスクを同定する技術を開発し、特許出願を行っている。
これまでの研究では、認知症が疑われるMMSE23点以下の被験者と、認知機能が正常と判断される24点以上の被験者を、その音声から精度0.92で識別する機械学習モデルの構築を実現している。

ビジネスモデル(申請時)

金融機関は高齢顧客と金融取引等を行う際、当該高齢顧客がその取引内容・リスクを理解できるレベルの認知機能を有しているか画一的な対応を行うことができていない。
業界団体のガイドラインに基づき、各金融機関において年齢で金融商品のセールス対象を制限するなど収益機会を損失している状態であった。一方、2035年には日本の金融資産の4割を70歳以上が保有する状況となる。そこで三菱UFJ信託銀行と協働し「音響学的解析による認知機能の画一的な判断」ツール/パッケージを有料で提供し、各金融機関へ提供することで金融機関の収益最大化に貢献する。
具体的には、営業現場で録音された音響データを、携帯端末を使用してクラウド上の解析システムに送信することで、その判定結果を端末上に表示させる仕組みを提供し、金融機関の意見を汲み取りながら、ビジネスシーンでの運用に即したシステムを構築する。

活動計画(申請時)
活動計画(申請時)の画像

これまで我々の研究に使用されたデータは医療現場でのデータであり、「実際のビジネスシーン」での検証は行われていない。そこで、上記技術が実際のビジネスシーンでも活用可能であるか、また魅力的なサービスとして設計し得るかといった社会実装のための事業検証フィジビリティスタディを行い、技術の改善を行うとともに、どの程度活用し得るかの検証を行う。
12月までにアプリ、サーバー、APIなど事業検証に必要な試作システムの設計と、研究計画の策定を行う。
1月以降は、共同研究機関である三菱UFJ信託銀行がビジネスシーンにおいて取得する、HDS-Rの実施結果および実施時に取得する会話録音データをもとに、i2medical社と協力して音響学的特徴を用いた機械学習による解析を開始する。試作システムを開発し、事業上/システム上の課題を抽出して、事業化に向けたサービス設計を検討する計画である。

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