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2024年7月2日

【開催報告①】Tokyo Tech Startup Night 2024

日時2024年 6月27日(木)16:00~21:00

東京工業大学 研究・産学連携本部イノベーションデザイン機構は、2024年6月27日(木)虎ノ門ヒルズCIC Tokyoにて、Venture Café Tokyoとの共催イベント「Tokyo Tech Startup Night ~世界を変える、大学発‘テック’スタートアップ~」を開催しました。

本イベントでは学生、研究者総勢 57名によるセッション、起業家による講演やディスカッションを開催、オンラインとあわせ、593名方がご登録、会場には303名がご来場くださいました。起業家、スタートアップ、アカデミア、企業、投資家、そして、スタートアップに関心を寄せるみなさまが一堂に会す、圧巻の一夜。現地では各セッションはいずれも満席となり、日本の「大学発‟テック”スタートアップ」への高い期待がうかがえました。あらたな社会的価値をうみだすスタートアップの成果発表の場は、未来へのあらたな一歩と確信させるものになりました。

Opening:Tokyo Tech Startup Night

日本から、世界を変える大学発スタートアップを生み出すには ―資金調達の壁の乗り越え方—

本学研究・産学連携本部 イノベーションデザイン機構 辻本機構長による「世界を変える大学発スタートアップを育てる」というミッション宣言から、本イベントが開幕しました。

(オープニングディスカッションの様子)

 

オープニングディスカッションには、株式会社ユーグレナ代表取締役社長出雲 充氏、ユニバーサル マテリアルズ インキュベーター株式会社代表取締役パートナー木場祥介氏が、パネリストを務めました。出雲氏は「日本の大学発スタートアップは、知財の流動性を高めることが重要」と指摘、木場氏は「マインドセットの問題が大きい。資金や知財の流動性を高めることが必要」などと語りました。大学を中心に、起業意欲を持つ若者を増やし、リスクマネーを用意して、成功事例を増やすこと。人生の選択肢に「起業」が入るための教育も重要であると指摘しました。日本発ユニコーン企業の創出に向けた、具体的な施策を挙げながら、大学発のスタートアップが世界に資するための課題と現状について、議論が交わされました。

(東工大発ベンチャー ピッチ登壇者)

(審査員)

審査員| Advisory judges

トヨタ自動車株式会社 先進技術開発カンパニー付 将来技術・事業創生グループ 主幹
モノづくり開発センター 素形材技術部 基盤開発室 室付 主幹
国立大学法人 埼玉大学 大学院理工学研究科 教授 古川 雄一 氏
先端技術共創機構 代表取締役 川上 登福 氏
早稲田大学ベンチャーズ株式会社 パートナー 丹羽 大介 氏
株式会社みらい創造機構 共同創業者/取締役 金子 大介 氏
東京工業大学 副学長(産学官連携担当) 大嶋 洋一氏

「グローバル成長を目指す新鋭、大学発テックスタートアップ ファイナルピッチ10」 東工大発ベンチャーAward2024

ピッチセッションでは、東工大発スタートアップ企業10社が自社の製品やサービスについてプレゼンテーションを行いました。「東工大らしい、新鋭、大学発テックスタートアップ」として、審査員、観客からの質疑応答を受けました。コンテストでは、解決される社会課題の大きさ、深さ、難しさ等を基準に「東工大発ベンチャー大賞」が選ばれました。

(各賞受賞者との記念写真)

Closingでは東工大発ベンチャーコンテスト、研究者ピッチセッションの表彰式が行われました。東工大発ベンチャーコンテストの大賞は株式会社FerroptoCure大槻 雄士氏、特別賞は株式会社Jij山城悠氏に授与されました。また東工大発ベンチャー大賞受賞の企業様には副賞として、本イベントにご協賛いただいているトヨタ自動車株式会社より50万円が授与されました。合わせまして、研究者ピッチセッションでは、伊原教授(東工大)と七田教授(東京医科歯科大学)が、表彰されました。

山城氏「うれしいです。ありがとうございます。大学発スタートアップとして、これからも頑張っていきます。最近は、田町にサテライトオフィスも構えましたので、より東工大との関係も深まっているように思います。引き続きよろしくお願いいたします」

大槻氏「大変名誉ある賞をいただき、ありがとうございます。予想していなかったので、驚いています。臨床を続けているところですが、はやく患者さんに薬を届けられるように開発を続けていきたいです。これからも、ご指導をよろしくお願いいたします」

さいごに、渡辺理事が2021年スタートアップ元年宣言を振り返り、10月から「東京科学大学」としてあたらしくスタートを切る本学が、スタートアップ支援のリーダーシップを取り続け、さらなるイノベーションの創出を目指していくことを力強く述べ、本会を締めくくりました。
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(登壇者他みなさまと)

およそ5時間にわたる「Tokyo Tech Startup Night」は、おかげさまで、大盛況のうちに幕を閉じました。ご登壇者、ご参加者のみなさまをはじめ、共催のVenture Café Tokyoのみなさま、関係者のみなさま、誠にありがとうございました。

東工大の取り組みが、日本のスタートアップエコシステムに新たな風を吹き込み、世界に通用するイノベーションを生み出すものとなるよう、引き続き、お力添えくださいますようお願い申し上げます。

登壇者 | Speakers

●vivola株式会社 【ライフ/フェムテック】シード
代表取締役CEO 角田 夕香里 氏
人生100年時代の女性が生きやすくなるよう、女性のライフステージごとの健康課題をデータ解析を軸としてソリューションを提供。不妊治療に特化し、患者向け治療データ分析アプリや機関向けのデータ解析事業を行う。

●株式会社FerroptoCure 【ライフ/創薬】 シード
代表取締役CEO 大槻 雄士 氏
がん細胞の生存に寄与する「フェロトーシス抑制機構」を標的とする世界初の治療法によって、現行治療にて効果の認められないがんに高い効果を示し、がんで苦しまない社会を目指す。

●メタジェンセラピューティクス株式会社 【ライフ/創薬】シリーズA
代表取締役社長 CEO 中原 拓 氏
「マイクロバイオームサイエンスで患者さんの願いを叶え続ける」ことをミッションとして、腸内細菌研究に基づいた「腸内細菌叢移植(FMT)」の社会実装と「マイクロバイオーム創薬」を推進する順天堂・慶應・東工大発ベンチャー企業。

●株式会社Jij 【AI/量子コンピータ】 シリーズB
代表取締役CEO 山城 悠 氏
「社会のOSを創る」をビジョンに、費用最小化や利益最大化のための解を探索する数理最適化アプリケーションを展開。クラウドサービス「JijZept」、オープンソースソフトウェア「JijBenchmark」、最適化ライブラリ「Open Jij」を提供。

●株式会社ストリーモ 【デバイス/モビリティ】 シリーズA
代表取締役CEO 森 庸太朗 氏
『Striemo(ストリーモ)』は独自の特許技術により、安心して「自分のペースで移動できる立乗り三輪電動モビリティ」。高齢化、過疎化をはじめとする移動課題を解決し、「世界中の人の移動と暮らしを豊かにすること」を目指している。昨年よりデリバリを開始し、高齢者含む個人や事業者の利用が始まっている。

●株式会社NSVT 【デバイス/半導体設計】シード
代表取締役 麻生 浩次 氏
半導体設計技術の研究開発、 半導体システム設計技術関連ソフトウエアの研究 ・開発 ・販売、 半導体回路に関する教育と指導、 半導体回路の受託開発、 半導体関連知的資産の売買、 半導体に関する様々な課題を解決する。

●株式会社クリエイティブAIロボティクス 【デバイス/マテリアルズ・インフォマティクス】シード
代表取締役 CEO  橋本 裕之 氏
AI(人工知能)とロボットが「実験室の産業革命」を目指し、自律的な材料合成システム(コンピュータより成膜条件等を指令し、AI ベイズ最適化しながらロボットが自動で予測~成膜~測定・評価作業を行い、成膜目標へ条件の絞り込みを行う)を提供。

●株式会社elleThermo 【環境/新エネルギー】 シード
ファイナンスディレクター 石井 貴幸 氏
未利用排熱を電力へと変換する新しいエネルギー変換技術「半導体増感型熱利用発電」を開発。安全・安心、石油資源に頼らない、狭い国土を有効利用し、安定して発電する再生可能エネルギー変換技術の構築を目指す。

●クレプシードラ株式会社 【AI/エンターテイメント】 シリ-ズA
代表取締役CEO 今 誉 氏
独自の空間音響収録・再生技術及びAI 等を用いた新規開発技術により、大胆かつ繊細なクオリティーの空間音響体験を提供。 音の到来や遠近感を表現する空間音響技術「Re:Sense(リセンス)」を提供。

●SkySense合同会社【AI/リモートセンシング】 シード
代表社員 アドディン・パヴェル氏
成層圏プラットフォームを用いた次世代地球観測サービスを提供し、HAPS を活用した高精度なデータ取得でリモートセンシングの新たな可能性を追求。

(テキスト・サムネイル CM・URA 小川由美子