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2023年6月30日

開催レポート:INDEST勉強会#6 「スタートアップの知財・法務の勘所」

日時2023年5月25日(木)17:00~19:00

2023年6月22日(木)、17時~INDESTでは、勉強会#6「スタートアップの知財・法務の勘所」を開催しました。今回の講師は、法律事務所amaneku代表弁護士・弁理士の山本飛翔氏。2020年に『スタートアップの知財戦略』を出版し、特許庁よりスタートアップ知財専門家として奨励賞を受賞。昨年には東洋経済の「法務部員が選ぶ弁護士ランキング」知的財産部門1位にも選ばれ、弁護士になって以来、一貫してスタートアップの知財戦略支援に取り組んでおられる先生です。

今回お話頂いたポイントは2つ。

1.知財戦略と事業の関係(1-1知財戦略/ 1-2活用方法)

2.産学連携における留意点

1-1知財戦略とは

経営、開発、知財の三位一体を組み合わせた戦略であり、事業と研究開発を最大限に生かすことを目指しています。中でも重要なのが「オープン・クローズ戦略」。市場拡大のためにオープンな領域と自社の利益確保のためのクローズな領域を構築することが重要です。この戦略では、自社の強みをブラックボックス化し権利化することでコア領域として保護し、同時にオープン化領域を作りプレイヤーを増やし市場を拡大させることを目指します。さらに、オープン化領域とクローズ領域の境界領域を各種知財で固めることで、オープン化領域におけるプレイヤーの動きに対する一定のけん制力を持ちます。

1-2.知財の活用方法とは

資金調達や競合他社を含む市場におけるプレイヤーへの支配力の獲得、ブランディング、IR(投資家向け広報)、M&A(合併・買収)、ディフェンス面などがあります。これらの手法を通じて、知財戦略をビジネスの成果につなげることができます。

2.産学連携における留意点

ライセンス契約が重要。契約では、大学側とスタートアップ側の間で前提条件、範囲、独占有無、ロイヤリティ設定、ライセンス権の有無などを明確にする必要があります。また、新株予約権の活用方法やライセンス権の取得なども考慮されるべき要素です。正確な契約内容の確立は、産学連携の成功につなげるために欠かせません。

起業前後に関わらず、経営や開発課題に密接に関わってくる知財戦略。ご参加頂いた東工大発ベンチャーやINDEST入居者(起業済)、起業準備中の東工大学生の皆さん達は、山本先生のわかりやすい講義を熱心に聞き入って下さり、沢山ご質問も頂きました。
またその後の交流会でも、INDEST入居者から起業準備中の学生さん達へアドバイスする姿が見られたり、自社の知財人材戦略について山本先生へご質問があったりと、熱気が感じられる場となりました。

山本先生、ご参加者の皆様、有難うございました。

講師紹介

山本 飛翔氏 法律事務所amaneku 代表弁護士・弁理士
弁護士になって以来、一貫してスタートアップの知財戦略支援に取り組んでおり、2020年の3月には『スタートアップの知財戦略』を出版し、同月に特許庁よりスタートアップ知財の専門家として奨励賞を、2022年には東洋経済の「法務部員が選ぶ弁護士ランキング」知的財産部門1位を受賞。2023年より法律事務所amanekuを設立し、同事務所の代表弁護士に就任。
また、大企業や大学の法務・知財面のサポートも行ってきた経験を活かし、2019年度より特許庁・経済産業省「オープンイノベーションを促進するための支援人材育成及び契約ガイドラインに関する調査研究」(事務局)に、2022年度より内閣府「大学の知財ガバナンスに関する検討会」(委員)に参画する等、スタートアップ・大企業・大学の三者にとって理想的なオープンイノベーションの形を実現するべく尽力する。スタートアップ側のサポートの際には、スタートアップを代理してシリコンバレー等の国外も含めて交渉の場に同席する等、スタートアップの伴走者として活動する。
各種アクセラレーションプログラム等における豊富な経験を活かしつつ、日本から世界に羽ばたくスタートアップの創出に寄与するべく、日々活動する。

タイムテーブル

17:00 ご挨拶・INDEST紹介
17:10 山本氏による講義
17:50 Q&A
18:00 交流会