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2025年7月7日

【開催報告】Science Tokyo(東京科学大学)INDESTが拓く量子の未来シリーズ第2弾|QA4U3 卒業優秀賞 ネットワーキング Party

日時2025年 7月 4日(金)17:30-20:00

2025年7月4日、東京科学大学 田町キャンパスINDESTで、「QA4U3 卒業優秀賞 ネットワーキング Party」を開催しました。Id機構INDESTが展開する「量子の未来を拓く」シリーズ第2弾となる本イベントは、大関真之研究室による公開伴走型生配信授業「QA4U3」の卒業優秀賞発表会! スタートアップ、研究者、学生らが集まるネットワーキングの場として実施いたしました。

INDEST入居者によるショート・トーク

オープニングで湯原URAによるId機構/INDEST活度紹介に続いて、入居スタートアップ・OptHub株式会社 CEO三嶋隆史氏(東京科学大学D1)が登壇。自身の経歴を振り返りながら、研究成果を社会に実装する挑戦について語ってくださいました。

OptHub社は、「AIトランスフォーメーション」というコンセプトのもと、データの収集・分析・予測・リセットの4ステップを通じて企業のDX化を支援しています。プレゼンテーションでは、同社の提供するソリューションを紹介すると共に、日本の学術界と産業界の間に隔たりを指摘し、その連携を促進するためのコンペティションの重要性についても述べました。

「技術は、社会と接続することで価値を生む」という三嶋氏の言葉には、研究者として、また起業家としてのつよい想いが込められているようでした。技術を現場に届け、課題を解決する。そのために挑戦を続ける姿勢には、アカデミアと産業界の橋渡し役としての気概が感じられました。

ビジネスアイデア賞受賞者による5組ピッチ

QA4U3卒業優秀賞(ビジネスアイデア賞)に選ばれた5チームによるピッチプレゼンテーションが行われました。

(5チームのみなさん、司会進行 湯原URA)

  1. ここたび(西山奉冶氏・幸田龍氏・高橋龍佑氏)
    旅行者の“気分”に寄り添い、今行ける場所をリアルタイムに提案する旅アプリ。隙間時間の価値を最大化するUX設計が高く評価されました。
  2. 量子アニーリングで抗マラリア薬を設計(鈴岡拓也氏・入江美穂氏・町田千優氏)
    量子計算を用いて、毒性が低く効果の高い新規化合物を効率的に設計。医療応用への可能性を切り拓くチャレンジが光りました。
  3. 量子DJ(鈴木健太氏)
    選曲・ムード・テンポなどを最適化し、誰でも“プロっぽく”プレイリストを構成できるシステム。音楽体験を民主化するアイデアに注目が集まりました。
  4. 七夕量子曼荼羅(増田武史氏・仮屋智由氏・山脇薫氏)
    「願い事」で人をつなぐマッチングシステム。国籍や年齢を超えて価値観を共鳴させるアート×量子の発想が印象的でした。
  5. QUBOOK 〜量子アニーリングと生成AIでつくる絵本〜(岡村恵汰氏・甘利丈慈氏)
    子どもの名前やメッセージをもとに、完全オリジナルなストーリーを生成。記憶に残る体験を贈る、未来のパーソナライズドメディアです。

講評・大関先生からのラップ・アップ

ゲスト審査員からは、各チームの発表を評価し、「社会実装の視点」「ユーザー体験の設計」「技術と感性のバランス」といった観点から、多角的なフィードバックが寄せられました。ビジネス化の観点から、面白いアプリケーションを公開して多くの人に使ってもらうことで、技術をアピールするきっかけになる、などの助言もあり、これからの展開にも大いに期待できそうです。

ゲスト審査員

  • wavelogy株式会社 代表取締役社長 道上竣介 氏
  • OptHub株式会社 代表取締役CEO 三嶋隆史 氏
  • OptHub株式会社 最⾼技術責任者 小嶋健太 氏
  • 蔵前工業会蔵前ベンチャー相談室(KVS) コーディネーター 林 雅弘 氏
  • GoMA株式会社 代表取締役 平賀 良 氏

(このほかにも、審査には多くのみなさまがご参加、ご協力くださいました!)

クロージングでは、大関真之教授がQA4U3の意義や「卒業」へのおもいを語り、自身の起業経験を踏まえ、次のように述べました。

「技術がある、というのは何かをつくれるということ。技術を持っているというのは、根性のようなもの。会社の本当の底力とは、つくれる人がいる、ということ。つくる、を何度も繰り返せる会社こそが、良い会社」

起業は目的ではなく手段、と説いた上で、自らの講演活動を通じて投資家との信頼関係を築き、株式会社シグマアイとして出資を受けたご経験などを語り、「人に投資する人、応援する人とのネットワークをいかにつくるか」「前向きに頑張れる場所を作ること」がカギであると言いました。そして、「その魂と姿勢を持ったチームづくりをしていってほしい」と結び、参加者へエールを送りました。

おしまいに

オンライン講座で出会ったというQA4U3の受講生のみなさんは、旧知の友人同士ように会場に集い、互いを応援し合い、量子技術やアイデアについて語り合っていました。懇親会では、世代や専門を越えたつながりが自然と生まれ、会場は終始活気に包まれていました。

本イベントの開催にあたりましては、「QA4U3」という無二の取組を継続されている大関真之先生、大関研究室の皆さま、発表チーム、ご来場いただいた皆さま、そして運営に携わってくださったすべての関係者の皆さまに、心より御礼申し上げます。

INDESTでは、ひきつづき量子×スタートアップ×社会実装をつなぐ場づくりにも力を入れてまいります。シリーズ第1弾に続く本イベントが、量子技術の可能性と、そこに挑む若い力の熱量を共有する場となったことを嬉しく思います。今後の広がりにもどうぞご期待ください。

プログラム

17:30-17:40 オープニング|ご挨拶・INDEST紹介
17:40-18:00  INDEST入居者によるショート・トーク|株式会社OptHub三嶋隆史氏|東京科学大学M1
18:00-18:40 ビジネスアイデア賞受賞者による5組ピッチ(5分)+審査員 講評(3分)
18:40-18:50 クロージング 大関先生からのラップ・アップ
18:50-19:30  懇親会

主催:東北大学大学院情報科学研究科
共催:東京科学大学 イノベーションデザイン機構 INDEST

関連リンク

■QA4U3(大関真之研究室) https://altema.is.tohoku.ac.jp/QA4U3/
■T-QARD|東北大学量子アニーリング研究開発センターとして情報科学研究科に認定を受けて、数々の共同研究を多くの企業の皆様と実施しています。2018年11月には株式会社Jij(Jij Inc.|数理最適化・量子技術スタートアップ東工大発ベンチャー第100号取得)の立ち上げ、2019年4月には株式会社Sigma-iと量子アニーリング関連スタートアップを設立しています。アカデミアとビジネスの橋渡しを担う大学の中でも革新的組織として、今後さらにその研究の幅を広げ、質を高めて行きます。

(テキスト・サムネイル CM・URA 小川由美子 )