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2024年6月25日

【開催報告】「INDEST学生カフェ~起業家と語ろう~」第3回:株式会社ポケットペア代表取締役社長:溝部拓郎さん

2024年6月21日、東京工業大学大岡山キャンパスで「INDEST学生カフェ~起業家と語ろう~」(第3回)を開催しました。100名を超えるご登録をいただいた「INDEST×学生カフェ」(第三回)。降りやまぬ雨の中、大勢のみなさまが、大岡山キャンパスTakiPlazaに足を運んでくださいました。

ポケットペア代表 溝部氏をお迎えした今回は、細井氏のナビゲートで進む大充実の90分。お二人のご経歴紹介からはじまり、小中高時代に熱中したゲームについて、また、起業の経緯、経営について、ゲームをつくりつづけることへの思いなど、広く語っていただきました。好きなゲームのこと、また市場戦略などのマーケティング手法やエピソードなど、最先端のゲーム開発の現場の話に、会場を埋める学生も熱心に耳を傾け、意見交換も活発に行われました。

起業について

最初の起業は、J.P.モルガン入社後。学生時代にはピクシブでアルバイトをしていたこともあり、ベンチャー起業で働くのは選択肢のひとつだった、という溝部さん。仲間にアイデアをもちかけられたことで会社を興しましたが、当時携わったWEBサービスや金融事業より、もっと「好き」なことがある、と気づいたのだとか。

細井氏(左) 、溝部氏(右)

「ゲームは苦労してつくりこみ、1年かけても完璧にならない。もっと稼げる方がいいのでは、と一旦はJ.P.モルガンに就職したものの、一周回って、自分が好きなのはゲームだ! と株式会社ポケットペアを創業しました」

せっかくゲームを作るなら、1人でも多くの人に使ってもらいたい、と明かす溝部さんは、「ある程度打算が求められても、多くの人から反応をもらえる、喜んでもらえることは重要。みんなを楽しませるというのもが大きな価値だと思う」、とエンターテイメントの価値にも触れてくれました。

また、起業のきっかけとなった当時の仲間とのやりとりをふりかえりながら、「大学で会う仲間、インターンでの友達だったり、アルバイト先だったり、そういうつながりは、生きてくると思う。友達を大切にするのは当り前のことだけど、大切にすることは、将来につながるのでは」とも。起業については、世の中を変えたい、というより、当時は「やって損はない」くらいのテンションだった、と振り返りながら、就職してからでも、在学中でも、いつでも起業はできる、と分析。昨今の起業支援をとりまく環境をふまえ「起業に関するリスクは実質ない」と、自論を展開しました。

各時代における好きなゲームと好きなところ、としてスマブラ、ポケモンダイバ、マイクラ、コロニーな生活+、妖怪ウオッチ……と次々あがるタイトルにあわせ、300時間、1000時間(!)と、生粋のゲーマーとしてゲームをやり込んできた時間や当時のランキングを発表すると、学生たちから感嘆のこもったどよめきがあがりました。

ゲーム開発について

ポケットペアの手掛けたゲーム「CLAFTOPIA(クラフトピア)」AI art IMPOSTER」(アートインポスター)」、そして「PALWORLD(パルワールド)」についても、着想やディレクション、市場調査など、細井さんからの鋭い問いに、率直かつ真摯な回答が続きました。プロダクト開発とマーケティングを一体として考えている、というのが溝部さんの真髄。面白いゲームにおける要素や、戦略的プロモーション手法、そのご苦労を余すところなく語ってくださいました。また「最近だと『スイカゲーム』や『8番出口』などの大ヒットしたゲームを参考に作ってみるのも良い」「生成AIがオープンソース化され、これで今後はAIの時代になると思ったが、AI株を買うより先にゲームを作り始めてしまった」といったコメントには、会場も大いに沸きました。

会場の様子1

会場の様子2

質疑から

質疑応答では「ヒットの再現性について」「国際展開について」「ゲームを作り続けてきた理由」など、会場からの質問も尽きることなく、関心の高さが伺えました。

質疑の様子

質問を受け、「企画の時点で面白くないゲームは、面白くならない」「ゲームは面白いのが一番。面白いのは奇跡的」「ゲーム会社はシンプルで、ヒットするかしないか。自分たちでつくり続けるには、ヒットを出すしかない」と、溝部さんからの名言も続きました。そして、「ゲームは人生。一番楽しいし、大事なもの。開発は苦しいけど、楽しい方が勝る。楽しいが先。苦しいは苦しいけど、振り返るとなんだかんだで、楽しかった」と、笑顔をみせてくださいました。

溝部氏から、学生のみなさんへのメッセージ

「起業には大したリスクもない。起業じゃなくてもインディーゲームをつくる、アプリでもいい。今は、やろうと思ったら誰でもできる環境が整っている。そういう意味でも、早めにはじめた方がいい。何かをやりとげる経験を積んだほうがいい。試しに、スタートアップでバイトするというのもある。タイミングもあるだろうけれど、まずは、今夢中にやっていることを続けて、完成させてみてください!」

おしまいに

TakiPlazaでは初の開催となった「INDEST×学生カフェ」。さいごに、「ゲームは人生」と言い切る溝部さんの、深く熱いゲーム愛、その熱をかけるポケットペアのゲームづくりには、共感と感銘が広がるようでした。登壇後のお二人との交流もたのしめる懇親会の時間も含め、あつい心の行き交う、特別なひと時となったのではないでしょうか。折しも、前日に新作ゲーム「サカナクラウド」をリリースしたばかりの細井さんの、クリエイターとして、また経営者としての視点が、溝部さんのゲームへの思いを十二分に引き出してくださったように感じます。お二方の創造性が、これからも、誰かの日々をたのしく幸せをもたらすものとして発揮されるよう、各社ますますのご発展を心から願っています。

ご来場のみなさま、ご登壇の溝部さま、細井さま、また告知や当日の会場設営など、お力添えくださった多くのみなさまに、深くお礼を申し上げます。

(テキスト・ポスター・サムネイル CM・URA 小川由美子/写真撮影 URA 鈴木 大介

日時・会場他

  • 日時:2024年6月21日(金)18:00~20:00
  • 主催:INDEST
  • 協力:Science Tokyo Biz
  • 場所:東京工業大学 大岡山キャンパス TakiPlaza (地下2F)
  • テーマ:「INDEST学生カフェ~起業家と語ろう~(第3回)『僕たち、ゲームが好きすぎて会社をつくってみました』」
  • 参加費:無料

ゲスト

株式会社ポケットペア 代表取締役社長 溝部 拓郎氏(東工大2012年卒)
1988年生まれ、35歳(2024年1月現在)株式会社ポケットペア代表取締役社長。
2012年東工大を卒業し、新卒でJ.P.モルガン入社。同年、株式会社レジュプレス(現コインチェック)を創業。「ビリギャル」で有名となった「STORYS.JP」をリリースし、2014年、仮想通貨取引所コインチェックを提供開始。2015年株式会社ポケットペアを創業し、「オーバーダンジョン」や「クラフトピア」など人気ゲームを生み出す。 2024年1月にリリースした「パルワールド / Palworld」は、発売から約5日間で700万本販売、約1か月で総プレイヤー数 2,500 万人を突破。

ナビゲーター

株式会社CoilSite 代表取締役社長 細井 椋太氏 

東京工業大学 環境・社会理工学院技術経営専門職学位課程 修士2年在学中。2022年3月に株式会社CoilSiteを起業し、同年8月にEastVenturesより投資を受けスタートアップとして経営を始める。現在は、東工大生をはじめとする学生メンバーと共に開発を行っており、2024年6月にモバイルARゲーム『サカナクラウド』をリリースする。

タイムテーブル

17:30 受付開始
18:00-18:10  オープニング|ご挨拶・INDEST紹介、Science Tokyo Biz紹介
18:10-19:15  溝部氏×細井氏 トークセッション
19:15-19:30 質疑応答
19:30-20:00  懇親会