物質理⼯学院・応⽤化学系
従来のがん治療は、しばしば重い副作用との闘いでもある。その常識を覆す新技術「ABCプロドラッグ」を開発した。これは、がん細胞に特有の物質「アクロレイン」を精密なスイッチとして利用し、がん組織の内部だけで抗がん剤を活性化させる画期的な仕組みである。これにより、正常な細胞へのダメージを最小限に抑え、治療効果の最大化を目指せる。さらに本技術は、一つの薬剤に留まらない「プラットフォーム技術」である。有望でありながらも毒性が原因で開発を断念された無数の薬剤を、価値ある新薬として「再生」させる大きな可能性を秘めている。
がんとの闘いが、副作用との過酷な闘いであってはならない。Quality of Life(生活の質)を犠牲にする患者を目の当たりにし、この課題解決こそが自らの使命だと確信した。研究成果の事業化によって成し遂げたいビジョンは、単にがん治療に伴う副作用を減らすことだけではなく、治療効果と安全性を両立させた新しい標準治療を確立すること。さらに、一人ひとりに最適化された個別化医療の可能性を解き放つこと。そして最終的に、世界中のがんに苦しむ人々に「安心して使える薬」という希望を届けることである。
がん代謝物との環化付加反応によるがん化学療法 |Chem-Station (ケムステ)
プラディプタ アンバラ| Katsunori Tanaka Laboratory in Institute of Science Tokyo and RIKEN
アクロレイン・がん治療 ・副作用 ・個別化医療 ・プロドラッグ