2025年12月2日
日時2025年 11月28日(金)16:00-17:00
2025年11月28日(金)、東京科学大イノベーションデザイン機構では、東京科学大学で起業を目指す研究者を対象に、大学発の創薬スタートアップに関する勉強会を開催しました。
東京大学エッジキャピタルパートナーズ(以下、UTEC)のライフサイエンス分野責任者である宇佐美篤氏を講師にお迎えし、「VCから見た創薬スタートアップの成功条件」をテーマに、具体的な投資・支援事例を交えながら活発な議論が行われました。UTECは2004年の創業以来、国内外の大学や研究機関と幅広く連携し、サイエンス・テクノロジー領域のスタートアップを専門とする独立系 VCです。これまでに累積で約1,300億円の6本の旗艦ベンチャーキャピタルファンドを運営し、150社以上に投資を行ってきており、うち20社が株式上場、22社がM&A(合併・吸収)等のExitを果たしております。
講義では、まずグローバルな創薬エコシステムの変化について説明がありました。2010年代以降、創薬の主役は既存大手製薬企業からスタートアップへとシフトしており、米国・欧州・中国では数千億円規模の提携や大型M&Aが相次いでいます。一方で日本は、アカデミアの研究ポテンシャルは高く、2021年前後から「創薬力強化」「スタートアップエコシステム構築」を目的とした政策が本格化しているものの、「日本発スタートアップが自ら新薬を創出し、世界市場で成功した事例」が依然として少ないという課題を挙げられました。また、IT分野との対比を通じて、創薬スタートアップ特有の企業価値評価の仕組についての解説もなされました。最後に、創薬スタートアップには、どの疾患の、どの患者集団を対象にするのか、といった「最終像」を明確にした上で、各開発ステージで取得すべきデータを逆算して設計する「バックキャスト思考」が不可欠だとメッセージがありました。
質疑応答では、海外展開のタイミングやチーム構成について多くの質問が寄せられました。終了後のアンケートでは、「今までの疑問に対しての理解が深まった」というお声をいただきました。ご参加の皆様、ありがとうございました。今後も起業に関する勉強会を開催してまいります。
テーマ:「創薬スタートアップ」
日時: 2025年11月28日(金)16:00-17:00
開催形式: オンライン開催(ZOOM)
講師: 株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズUTEC 取締役パートナー宇佐美 篤 氏
主催: 東京科学大学 イノベーションデザイン機構
(記事:URA 黒田亜矢子)